冷徹御曹司の旦那様が、「君のためなら死ねる」と言い出しました
 そして今夜は、タイミングが合ったので一緒に晩酌をしている。ふたりでソファに座ってまったりと過ごすのも久々で、こうする時間も今ではとても貴重なものだ。

 ワインを嗜む秋華は、風呂上がりのせいもあってほんのり頬が染まっていて色っぽい。今すぐ抱きしめて食べてしまいたい衝動を、ポーカーフェイスで隠してなんとか堪えている。

「あっ。今度の土曜日、和奏と麗さんと三人で日帰り温泉に行ってきます。夕飯も食べてくるから、帰りは夜になるかな」

 楽しみな予定が入ったらしく、秋華がわくわくした様子で告げてきた。

 和奏さんは秋華が仲よくしている同僚で、麗さんは確かパーフェクト・マネジメントの不破社長の奥さんだったよな。よく三人で会っているようだが、温泉に行くとは珍しい。

 それはまったく構わないが、帰りが夜になるというのを聞くと無性に不安になる。こういう時も干渉しないという約束とはいえ、女性が夜にひとりでいるのは普通に危ないだろう。

「迎えに行かなくて大丈夫か? 酒も飲むんだろう」
「大丈夫です。タクシーを使うつもりだし、べろべろに酔ったりしませんから」

 眉をひそめる俺に、秋華はクスッと笑って答えた。

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