誠の軌跡



ここの信号なかなか変わらないんだよな、とか思いながら信号が青へと変わるのを待つ。



するとどこからか、待ってっ、という声が聞こえた。



交差点にはボールを追いかける男の子の姿が見えた。



向こうからはトラックが走ってきている。



考えるより先に体が動いていた。



「危ないっ!!」



________________________ドンッ



必死になって男の子を突き飛ばした。



が、既に目の前にはトラックが迫っていた。



キキィィィッ____ドンッ



私の体は吹き飛ばされていた。



(短い人生だったな。でも、人を救えたのならこれで良かったのかもしれないな…。)



と、思いながら。



短い時間だっただろうが、すごく長い時間のように感じられた。視線をずらしてみると、



(あっ、猫ちゃんだ。目が金色に光った…?)



そこで、私の記憶は途切れた。


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