パーフェクト・フィグ
#2."君のこと知ってる"
3日後。
雅俊はかつて勤めていた職場に戻ってきた。
街から少し離れた高台にある、
東都南大学病院。
以前はここの勤務医だったが、
今日からは週2日の契約で
ここの総合外科部門で
麻酔科医として働くことが決まっている。
更衣室に入ると、
前と同じロッカーに名札が貼られていた。
着替えを済ませて、
受付に向かう途中にある
麻酔科医室のドアを叩いた。
「失礼します」
既に部屋にいた数人の医局員が
視線を向ける。
「おぉー!」
「おかえりなさい!」
壁に並ぶ各々のデスクや、
中央のテーブルに腰かけた面々が
比較的歓迎ムードで雅俊を迎えた。
「相変わらずのイケメンですね、兄さん」
「お前の兄さんじゃないだろ」
弟の親友である宮越潤が、
立ち上がって雅俊に手を伸ばす。
それに応えるように握手を交わすと、
腕をバシッと叩かれる。
さすが元バスケ部。
その爽やかな表情と対照的に
力加減に容赦がない。