青の葉の、向かう明日。
「まだ夢見てんの、ガリ勉」

「ま、アンタにはもう勉強しか縋るところは無いんだろうけど」

「可哀想な人」


イヤホン越しでも聞こえてくる明らかな嫌味が私の身体を萎縮させる。


「目障りだから居なくなればいいのにね」

「ほんと、ほんと。学校くんな、犯罪者」


同じクラスの一軍女子がそう捨て台詞を吐き、高笑いをして去っていく。


「はぁはぁはぁ…」


急に呼吸が荒くなる。

視界から追いやっても、耳にこびりついた罵詈雑言が消えない。


ーー犯罪者。


私…犯罪者、なの?

それなら…

それなら…

あの子、だって…。


「はぁはぉはぁはぁ…」


全身から力が抜けて立っていられなくなり、思わずしゃがみ込んだ。

誰でもいい。

助けてほしい。

お願い…

助けて。

助けて。

こんな私で、申し訳ないけど…

助けて、よ…

晴くん。


なぜ、こんな時までキミの顔を思い出してしまうのだろう。

嫌われたって知ってるのに、

振られたって頭では分かってるのに、

救いを乞うてしまう。

おかしいよね?

ズルいよね?

でも…キミがいい。

キミじゃなきゃ、ダメなんだ。

まだ…諦めたくない。

こんなことで死にたくない。


「はぁはぁはぁ…」


さらに苦しくなって蹲る。

もうほんとに消えてしまうかもしれない。

それなら、

それなら、最後に…。

もう一度、だけ。


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