青の先で、笑っていて。
1

始まる、青

翌日。

朝から母の代わりに家事をこなし、いつも通りに家を出た。

3日前まで当たり前だったことが今では崩壊してしまい、見慣れたはずの通学路さえ全く別物に見える。

長年積み上げてきた絆も、

地位も名声も、

やっとで掴み取った大学の推薦合格も、

大切な人も…

たった1日、

いや、一瞬で

ひとつの過ちで

私は失ってしまった。

どうしたら良いかなんて分からない。

この先、どう足掻いても目の前に広がる荒野は延々と続き、たとえどこかにたどり着いたとしても地獄のかまどなんじゃないかって。

そんな不安で胸がいっぱいで、

押し潰されそうで、

ただ…辛い。

苦しい。

アスファルトを踏み締めるだけでもこんなに痛かったのかと疑うくらいに、

どこか敏感で、

どこか鈍感だ。


「はぁ…」


昇降口に着くや否やため息が漏れた。

徒歩、バス、徒歩…と1時間以上かけて来て疲れたからではない。

針の筵。

戦場。

そんな表現が良く似合う。


あぁ、聞こえてくる。

誰も彼もが私の噂話をしている。


ーーあいつが犯人か…。

ーー振られたんだってさ。

ーーはは、自業自得じゃん。


そんな内容がずっとずーっと、ずーっと追いかけて来る。

逃げ場はない。

けど、これもまた運命。

受け入れるしかないんだ。

言い訳出来る。

反論も出来る。

けど、しない。

した方が、負け。

カッコ悪い。

私はこれ以上自分を嫌いになりたくない。

惨めだ。


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