青の先で、笑っていて。
汚く重いいろんなものを背負いながら階段を上り切り、教室の前まで辿り着く。

ドアノブに手を伸ばす。

ドアが鉛のように重い。

本当に帰りたくなって来た…。

なんならもういっそのこと、帰って卒業式まで来なければいいか。

高校3年生にとってほぼ3月期なんてあってないようなものだし。

でも。

不登校…。

母の嫌いな3文字だ。

小学生の時、学校に行きたくないって泣き喚いたことがあった。

私は昔から人見知りが激しくおとなしい性格で、嫌なことを嫌だと言えず、クラスメイトにいろんなことを押し付けられていた。

ある日そんな状況に嫌気が刺して、というよりは、もう精神的に限界で、幼いながらに抵抗したのだ。

行きたくない。

行きたくない。

学校なんて、大嫌い。

そう、何度も言ったけど、頑丈な壁を壊すことなんてやはり出来なかった。

私は今もカーポートにひっそりと佇む青のミニバンの助手席に座らせられ、母にお小言を言われながら無理矢理連れて行かれた。

学校に行かないのは恥。

親の顔に泥を塗るつもりなの?

そう、言われた。

何度も、何度も。

あの時の気迫を今でも思い出せるくらいに。

その考えが母の根底にあるからこそ、母は今回塞ぎ込んでしまったわけで、やはり私は行くしかない運命なのだ。

家に帰っても、簡単に言ってしまえばおかしくなった母と2人きりだし、

それならまだ家から出た方がマシだ。

それに、海に近いあの家にいたのでは潮風でさらに肌のヒリヒリが加速する。

ならば都会のビル風に吹かれている方が良い。

などと、思考を巡らしていると

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