王子様のないしょ話 ~僕は初恋の彼女を溺愛する
 《プリンス親衛隊》の設立には、例の公爵の後押しがあったという。

 もしシンデレラと僕との間が上手くいかなかった場合、彼の娘が『シンデレラ』の役を掴む可能性がある。
 それに賭けたのだろうが……

 公爵家の令嬢は美人で教養もあり、親衛隊を統率するカリスマ性もある。ただ、僕の好みとは、言い難い。

 ……でも、そんなことは言えない。

 公爵家主催の舞踏会や、王室主催の園遊会などで、彼女とは必ずと言っていいほど顔を合わせるが、そのたびに彼女の僕を見つめる瞳の中に、僕への好意をはっきりと見ることが出来る。

 でも多分、僕が彼女の思いに応えることはないだろう。


 申し訳ないと思う。
 それはもう、心から。
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