王子様のないしょ話 ~僕は初恋の彼女を溺愛する
 そこで、思い出した。シンデレラ公募のときの三つの条件。
 まさか、いや、もしかして、彼女こそ僕の運命の人なのでは……?

(ああ、あれは人形なのか、人間の少女なのか、どっちなんだ……)

 祈るような気持ちで見つめていると……

「動いた!」

 その少女は、籠を持っていない方の腕を、胸の前に持ってきてギュッと握りしめたのだ。

 そして目を伏せ、何かを言っている? みたいだ。

 ああ、何て言っているのだろう。どんな声なんだろう。
 あの子はどこの誰なんだろう?

 やっぱり、彼女がシンデレラ……なんじゃないだろうか?

 いや、きっとそうだ!
 そうに違いない!
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