王子様のないしょ話 ~僕は初恋の彼女を溺愛する
「……じい?」

「王子様、あなたは今まで、この世界をどのように理解されてきたのですか?確かにあなたはまだ子供ですが、『シンデレラ』という物語の重要人物である『王子』という役目を背負っていること、ちゃんとご存じだと思いました」

「……」

「この世界に生まれた以上、物語を(とどこお)りなく進行させなければいけない。その為に色々な役割があり、その役割を果たそうと、名前がある者ない者に関わらず、皆で一丸となって務めております」

「うん……」

「シンデレラ、というヒロインがいる一方、お話にはヒロインをいじめるママハハや義理の姉という”悪役”があります。でもそれは”悪役”というだけであり、それを演じているママハハたち本来の人物とは、関係がないのです」

「……そう、なの?」

 それまで、ずっと怖い顔でお説教していたじいの顔が、少し優しくなった。
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