王子様のないしょ話 ~僕は初恋の彼女を溺愛する
 ところで、当初は例の公爵からの横槍を、かなり警戒していたのだが、こちらも肩透かしを食らうほど、すんなりとヒロインチェンジ案件を通してくれた。

 これは本当に意外だった。


 後日、初めて参加したお茶会のあと、妻がうんうんと何度もうなずきながら言った。

「都市伝説が、いい仕事をしたわ」

 何のことかわからなかったが、妻いわく
「あの公爵様は、ネコチャンが好きみたい」
だそうだ。知らなかった。

 でもやっぱり何のことか、わからない。

 父親の公爵より、妻にとっては娘の方が厄介なようだ。

 それはそうだ。

 女の敵は女、と聞く。

 しかもこんな事態になった責任の一端は僕にもある。

 そう、一割くらいは僕のせいだ。でも残り九割は公爵のせいだ。
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