王子様のないしょ話 ~僕は初恋の彼女を溺愛する

王子視点の『シンデレラのないしょ話』

 それでは、私ことシンデレラ町の王子の、初恋の話をしようと思う。

 町のメインストリートでパレードをしよう、という話が出たのは、僕が十代半ばくらいのことだったか。

 僕たち王族は、町の中心部にある小高い丘の上の城に住んでいる。

 町規模の国とはいえ、そこには身分の違いが厳然とあり、普段僕ら王族が顔を合わせる機会があるのは、貴族、それもある程度の高位貴族しかいない。
 
 ただ、今回のシンデレラの物語が始まる前、シンデレラの公募をかけ、ヒロインに決定したのは男爵家の娘だという。

 つまり、普段僕らが会う機会のない少女だ。
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