王子様のないしょ話 ~僕は初恋の彼女を溺愛する
 しかし、その説明で僕はもっとわからなくなった。

「公爵が父上や母上とお近づきになりたいと思うなら、僕や娘さんとは関係なく、直接お話したり、お手紙書いたりして仲良くなればいいのにね」

 僕のその言葉に、じいは苦笑する。

「そうですね。確かにその通りでございます。今度公爵様にお会いした時に、そうお伝えしておきますよ」

そして小声で「もし言えたら、ですが…」と付け加えていた。

 公爵は少し怖い顔をしているし、会うとこちらをググッと(にら)みつけてくるような迫力がある。なんとなくじいが言いたくないのだろうと察した。

(無理に言わなくても、いいよ)
心の中で、じいにそう言った。
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