本能の赴くままに、身を委ねる。
第1章
腐れ縁
ードカッ!バキッ!
闇夜に光り輝く繁華街の路地裏で、鈍い音が響き渡る。
「うがぁぁ!」
「……なんだ、もうお終いか?そっちから喧嘩ふっかけてきたんだろう?」
私は、倒れ込む男共の頭を引っ掴み、無理やり顔を上げさせる。ただ道を歩いていたというだけなのに、急に殴りかかってきた奴ら。
喧嘩なんて本当はもうしたくない。
したくないのに、余計なやつがふっかけてくる。……どうして、私は強くなってしまったのだろう。
「ったく、今日はここまでだ!引き下げるぞ!」
仲間のひとりが滅多打ちにされているのを見てビビったのか、捨て台詞を吐いてその場から駆け出した。
そんなに弱いなら最初から突っかかって来んなよ。
……バーカ。
心の中で呟きながら掴んでいた頭を手から離した。
「……はぁ。帰るか」
顔を上げて夜空を見た。キラキラと輝く星空はとても美しい。