本能の赴くままに、身を委ねる。
「もうすぐ銀河がここに迎えに来る。今日は俺も帰るから、大人しく従ってろ。いいな?」
「……はい」
銀河とは郁人の執事さんの名前。
小さい頃から何度か顔を合わせたことはある。確か強面の人で髪色が金髪の人……。
郁人の幼い頃からの専属執事で、とにかく尽くす人だ。郁人の圧に負け、渋々頷く私。
……なんで、いつもこうなってしまうのだろう。郁人には敵わない。いつも私の行動を先に読んで守ってくれる。
「よし。いい子だ」
大人しくなった私を満足そうに見ると、ぽん、と大きな手を頭に乗せてくる。
優しい温もりが伝わってきて、なんだかとても恥ずかしい気持ちになった。
「いい子ってなによ!気持ち悪いからやめて!」
郁人に撫でられて嫌な訳じゃない。
でも、ほとんど無意識に気持ちとは反対の言葉を話している。こんな自分が嫌になるけど、郁人は笑って私を見ているだけだった。