外商部御曹司は先輩彼女に最上級のロマンスを提供する
「ーーあれ、深山先輩? 今日は上がられたんじゃ?」
ギクッと効果音が付きそうな姿勢で振り向く。
「は、花岡君こそ、どうして婦人服売り場に?」
「ディスプレイ用の靴を持ってくるように言われまして。そうしたらフリーのお客さんがいらっしゃったのでお声掛けしてみようと」
「従業員だから誰も接客につかないの。だけど売り場の状況を見てアプローチを掛けたのは良い事ね」
「ありがとうございます」
花岡君は目を細めて嬉しそう。主任や先輩スタッフから褒められる機会がたくさんあるだろうに、初めてみたいな反応を返してくれた。お手本通りのスマートな笑顔じゃない表情は何処か幼くて。
(ちょっと可愛いかも?)
「ーーあぁ、もしかして明日の洋服を選んでるんですか?『私』もお手伝い致します」
「え、えっ、花岡君?」
俺から私へ一人称が変わるのは接客スイッチが入った合図。
「いや、大丈夫。自分で選べるからいいって!」
「先輩が仕事とプライベートはきっちり別けなさいって言いましたよ? 退勤した先輩はお客様、そして俺はまだ勤務中ーーでしょう?」
「まぁ、それは……」
ギクッと効果音が付きそうな姿勢で振り向く。
「は、花岡君こそ、どうして婦人服売り場に?」
「ディスプレイ用の靴を持ってくるように言われまして。そうしたらフリーのお客さんがいらっしゃったのでお声掛けしてみようと」
「従業員だから誰も接客につかないの。だけど売り場の状況を見てアプローチを掛けたのは良い事ね」
「ありがとうございます」
花岡君は目を細めて嬉しそう。主任や先輩スタッフから褒められる機会がたくさんあるだろうに、初めてみたいな反応を返してくれた。お手本通りのスマートな笑顔じゃない表情は何処か幼くて。
(ちょっと可愛いかも?)
「ーーあぁ、もしかして明日の洋服を選んでるんですか?『私』もお手伝い致します」
「え、えっ、花岡君?」
俺から私へ一人称が変わるのは接客スイッチが入った合図。
「いや、大丈夫。自分で選べるからいいって!」
「先輩が仕事とプライベートはきっちり別けなさいって言いましたよ? 退勤した先輩はお客様、そして俺はまだ勤務中ーーでしょう?」
「まぁ、それは……」