外商部御曹司は先輩彼女に最上級のロマンスを提供する


 ーーあぁ、頭が割れるように痛い。

 見知らぬ部屋に寝かされた身体は昨夜の愚行をしっかり覚えており、二日酔いという結論を導く。

(ここは何処? あれからどうしたんだっけ?)

 身体に比べて記憶は曖昧。この薄切り(うすがり)へ行き着いた流れを思い出せない。半身をゆっくり起こし室内を見回すものの、心当たりはなかった。

 着衣はシワが寄ってはいるが極端な乱れはなく、ひとまず安心する。

(ホテル? おしゃれな部屋)

 バッグや携帯電話など私物が見当たらない。ひとまず部屋の外へ出てみよう。
 その際、窓の外がまだ真っ暗であるのに気付く。時刻はーー深夜だろうか。
 肘を抱えドアに近付く。そしてノブへ恐る恐る手を掛けようとした時、向こう側から回った。

「ーーあっ、良かった! 起きられたんだ?」

 現れる人物はわたしの起床をにっこり微笑み、受け入れた。

(え、え、ちょっと待って)

 一方、わたしは言葉が出てこない。

 何故かと言うと目の前に立っているのがーー亮太だったのだ。
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