和歌を現代にー『わかれんと 思ふばかりも 恋しきを いかにかせまし 逢はぬ月日を 』樋口一葉

第二章

 それから私たちは、会うたびに挨拶をする友達、所謂「よっ友」を経て、よくしゃべるようになった。ある日私は、無性に甘いものが食べたくて友達の凛に、「カフェに行こう」と誘った。そのカフェは、とても雰囲気が良く子供の頃からおばあちゃんと一緒に行っていた大好きなお店だ。しかし、凛は、
「ごめーん。一葉の頼みなら行ってあげたいんだけど、今日彼氏とイルミネーション見に行くの。ほんっとごめん。」
と断られてしまった。それに続いて
「私はいけないけど、あの子誘ってみたら?えーっと名前なんだっけ?」
私は、「あの子?」と首を傾げる。すると凛は「あっ」と思い出したように声を上げたあと私に囁くように言った。
「凪くん。」
とても驚いて、顔が紅潮していくのを感じる。そして凛は、いたずらげに笑みを浮かべながら教室で男子と話している彼を呼んだ。
「凪くーん、一葉が話があるってよ。」
彼が小走りで私たちの元へ寄ってくる。
私が緊張と動揺で話せないでいると、凛が「ほーら」と背中を押した。私は、勇気を出して誘ってみることにした。
「凪くん、これから、カフェに、行かない?」
緊張で、言葉に詰まってしまった。ミスったかな?と思ったが彼は、迷うことなく
「いいよ」と返してくれた。一つ返事に少々驚く。そして彼は笑みを浮かべて「行こっか」と歩き出した。私は、「うん」と返して彼について行った。
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