唯牙くんの手のひらの中
「あ…その、ごめんなさ…」



「う〜ん、謝ってほしいわけじゃないんだけどなぁ…
僕は萌香になんで動いちゃったのか聞いてるんだけど?」 



「えと、なんでもないの。ちょっと体を動かそうかなって思っただけで…本当だよ、何もしようとなんてしてなかった…っ」



「…そう、萌香まで僕に嘘を吐くんだね。
あーあ、出会った頃はあんなにも素直で可愛かったのに誰が萌香をこんな子に変えちゃったんだろ?

…ねぇ、萌香も不思議でしょ?」


一度こうなってしまった唯牙くんを落ち着かせる方法を、私はまだ知らない。


「ごめんなさい、ごめんなさい…」


そんな私にできるのはただひたすらに謝ることだけ。

なんて情けなくて、みっともないんだろう。




「謝ってほしいわけじゃないって言ってるんだけど…いつから頭まで悪くなっちゃったんだか。

………ほらそんな調子だからいつまでたっても鎖を取ってあげられないんだよ。」




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