いちばん星と御曹司

経過報告

 いつもの定食屋さんで、あたしはモエモエ先輩に経過を報告した。先輩はクソキノコのくだりで大爆笑し、アラフィフ男の「ウヘヘ」な本音に身震いした。
 
「なんか……もう疲れてきた。御曹司って変なヤツしかいないのかな……」
 モエモエ先輩は困った顔をした。
「そんなことも無いと思うけど……。でも実際、いろんな人がいるのねえ。御曹司って言っても、生まれも育ちも人それぞれだし、仕方ないのかもしれないけど……」
「先輩は超絶ラッキーですよ。出会った御曹司が圭人専務で」
 若いのに優秀で、でもそれを鼻にかけるわけでもなく謙虚で。誠実で、イケメンで、おまけに可愛さまで兼ね備えてて。世の中不公平すぎる。
 定食屋のテーブルに突っ伏したあたしを、先輩はよしよしと撫でてくれた。
「でもヤッシー。あと一人いるんでしょう? その人がすごく素敵な人かもしれないじゃない」
 あたしはむくりと起き上がって先輩を見た。多分、そんな可能性は無い。二度あることは三度……だ。
 
 会社に戻ると、午前中まであった久保っちの姿が見当たらなかった。午後から新作冷凍おかずの企画会議をする予定だったのに。
「ああ、久保君なら早退したよ。体調が悪かったみたい。そういやここのとこ顔色も良くなかったしね」
 ナベさんが心配そうに教えてくれた。
「久保君一人暮らしだからねぇ。ちゃんとご飯食べてるのか心配だね」
 確かに、久保っちは元々細身ではあったけど、ここのところさらに痩せてみえた。そういえば欠伸も多いし、何だか疲れてそうだったな。……大丈夫かな、あいつ。
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