それらすべてが愛になる
 お風呂から上がり、着替えや髪など一通りを整えてパウダールームから出ると、洸はリビングのソファーでノートパソコンを開いていた。

 清流に座れば?と目線だけでソファーへと促して、また画面へと戻る。

 邪魔をしないようにと一番離れた位置に移動して、ふと窓を見るとすでに日が暮れていた。
 正面の大きな窓の外はローマの街並みが広がっていて、その夜景に思わず目を奪われる。

 (すごく綺麗…)

 都会の夜景とは違う、遺跡や歴史ある建物がライトアップされた景色はとても幻想的で、これが見れただけで思い切って旅行に来てよかったと思える。

 見ると、外を歩く人は傘を差していない。雨は止んだみたいだ。
 身なりも整えたし、これならまた今日泊まるところを探しに行けそうだと考えていたとき、後ろでパタンとノートパソコンが閉じられる音がした。

 「お風呂先に使ってしまってすみません。ありがとうございました」

 「あぁいいよ、別に気にするな」

 洸は腕を伸ばしながら首を二、三回鳴らしている。

 「そうだ、クリーニングだけど明日の七時には仕上がるって」

 「明日の朝…ですか?」

 「都合悪い?」

 「いえ大丈夫です。えっと、じゃあ何時ごろ取りに来たらいいでしょうか?」

 「取りに来る?このまま泊まるんだから必要ないだろ」


 ―――泊まる?私が、ここに??

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