それらすべてが愛になる
 「すごい量になりましたね…」

 前菜に一品料理が数品、クリームソースのパスタにマルゲリータピザ。
 リビングのテーブルに並べられた料理の数々を見ながら、どう見ても頼みすぎだなと清流は思う。

 「パスタとピザって、ド定番だな」

 「それは、せっかく本場ですしやっぱり食べておきたいなぁと思って」

 というのは建前で、本当はイタリア語と英語で書かれたメニューの中で理解できたのがパスタとピザの項目だけだったからなのだが、そのことは黙ってピザを頬張る。

 ピザは薄めの生地がサクサクとしていて香ばしく、いくらでも食べられそうなくらい軽い。そして何よりトマトソースが日本のとは違って、トマトの種類の違いなのか旨味が濃くてとても美味しい。

 「だったらルームサービスじゃなくて外で食べろよ。美味い店教えてやるから」

 洸が紹介するお店は値段だけではなく敷居が恐ろしく高そうだ。

 「それはありがたいですけど、本当に美味しいですよ」

 一つ食べてみてください、ピザを一切れ取り分けた小皿を差し出して、自分は注がれていた白ワインを一口含む。

 飲み込むときにふわっとマスカットのような香りがする。何となくワインというと渋かったり酸味が強いイメージがあったけれど、このワインは甘みが際立っていて飲みやすかった。

 「あのさ、個人的なこと聞いてもいい?」

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