トライアングル・ロマンス


「おお、そうなんだね! 澪ちゃんの手料理、楽しみだな~」

「うまいご飯……」


お父さんの期待に満ちた眼差しに、馨くんの心なしか輝いて見える瞳。

まだ出会って数十分しか経っていないからはっきりとは分からないけど、馨くんは徹くんに比べて感情が顔に出にくい気がする。

だけど今は“楽しみです”といった雰囲気がその表情から滲み出ているから……食べることが本当に好きなんだろうな。


この流れだと、確実に私が今日の夕飯を作ることになりそうだ。……気合を入れて作らないと。

まだまだ少ない料理のレパートリーを頭の中に思い浮かべてみる。


――再び徹くんと馨くんの言い争いが始まったのを視界にとらえながら、何を作ろうかと必死に頭を悩ませることになったのだった。

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