トライアングル・ロマンス


***


引っ越してきてから今日で五日目になる。

始めの二日間は引っ越し作業に追われて、三日目から新しい小学校に通い始めた。つまり、今日で学校生活は三日目ということになる。

――まだ、三日なのか。もう、三日も経ってしまったというべきなのか。

それにもかかわらず私は、未だに友だちと呼べる存在を一人も作れずにいた。

学校からの帰り道。
私は今日も一人寂しく帰路についている。



――――時を遡ること三日前。転校初日のことだ。

各学年にクラスは二組しかないのだと担任の先生に教えてもらった。
人数もそう多くはないため、六年生になればほとんどの子が同じクラスになっているのだという。つまりは、皆気心の知れた仲だということだ。

上手く馴染めるだろうかという不安が顔に出ていたのか、先生には「皆気の良い子たちだから緊張しなくて大丈夫だ」と、カラッとした笑顔で伝えられた。


私が所属することになるのは六年二組だ。

教室に足を踏み入れれば、騒がしい雰囲気のままにクラスメイトたちの期待に満ちた視線が突き刺さってくる。

――明るくて賑やかなクラス。教室に入って直ぐに感じたことだった。


簡単な自己紹介を終え、そのまま授業に入った。授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響けば、周りにいた女の子たちが一斉に集まってきて、気さくに声を掛けてくれる。

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