トライアングル・ロマンス
「澪ちゃんって言うんやね。かわいい名前やな~。私のことはサチって呼んでや!」
「澪ちゃん東京から来たんやろ? いいな~東京!」
「芸能人に会うたことある?」
「東京タワー乗ったことはあるん? 私あれに乗るのが夢やの!」
怒涛の質問攻めに順々に答えていた時。
一人の男の子がクラス中に響き渡るほどの大きな声で言ったのだ。
「なんやこいつ、大阪きたくせに関西弁も話せへんのか。変やろ」
一瞬静まり返ったクラス。でも女の子たちは直ぐに反論の声を上げる。
「急に何言うんかと思えば……東京から来たんやから当たり前やろ」
「大悟はアホやな~」
女子の言葉にヴっと言葉を詰まらせた、大悟くんというらしい角刈り頭の男の子。
しかし直ぐに大きな口を開けて、異議の言葉を唱える。
「っ、でも東京もんやで。どうせ俺たちのことなんか田舎者やて馬鹿にしてるに決まっとる」
そんな大悟くんの言葉に、男子数人が「せやな~。確かに東京に比べたら俺らは田舎者やんな」なんて同意の声を上げた。
それを皮切りに、女の子たちからも賛同するような声がちらほらと漏れ始める。