トライアングル・ロマンス
「……別に。たまたま一人だっただけだよ」
「ふ~ん」
――あ、今の。感じ悪かったかな。
フイと顔をそらしてから、自分の言動に気づく。四つも年下の男の子にこんな態度をとって……これじゃあただの八つ当たりだ。
「でも姉ちゃん、学校で友だちいないんとちゃうの? 昨日も今日も昼休み一人で教室いるの、見えたで」
グサリ。
純真ゆえの真っ直ぐな言葉が、痛みを伴って私の胸に深く突き刺さった。
「……っ、」
ああ、どうしよう。
――泣きそうだ。弟の前で泣くなんて絶対にしたくないのに。
目の奥が熱くなって、アスファルトにポタリと染みを作っていく。
溢れ出した涙は中々止められなくて、嗚咽まで漏らしてしまう始末。
「……、なんや、俺らの姉ちゃんは泣き虫やな~」
私の顔を見て、ピタリと体を固まらせた双子の片割れ。
だけど直ぐに笑みを貼り付けて、揶揄いを含んだ言葉を投げつけてくる。