トライアングル・ロマンス
「……っ、うるさい! ……お父さんなんて、弟なんて、いらなかった。私には、お母さんだけいればよかった! こんな所、ほんとは来たくなんてなかったのに……!」
――年下相手に何言ってるんだろう。
来たくなかったのは嘘じゃない。でも、お父さんは優しくて、徹くんと馨くんも良い子そうで。これから少しずつ仲良くなれたらいいなって思ってたのに。
“いらない”なんて――こんなの、本心じゃないのに。
頭では分かっているけど、図星を突かれたことで脳内は沸騰したように熱くなってしまって、溜め込んでいた負の感情がどんどん溢れ出てくる。
一度吐き出した言の葉を取り消すことなんて、できやしないのに。……最低だ、私。