トライアングル・ロマンス
「……ふ~ん。あっそ」
私の言葉にそっけなく返してきた、徹くんか馨くん。
このまま怒って先に帰ってしまうだろうなって、そう思った。
それなのに――。
「行くで」
そう言って私の左手をそっと握りしめた男の子は、小さな歩幅で私の前を歩き始める。
突然手を繋がれて驚いたけど、私よりも小さくて温かな手を振りほどこうとは思えなくて。引かれるままに足を踏み出した。
歩き始めて数分。いまだにグズグズと鼻を鳴らしながら泣き続ける私。
黙って前を歩く背中はとても小さいのに……何でだろう。すごく大きく感じてしまう。本来は私が手を引いて歩く立場なのになぁ、なんて、急に恥ずかしさも襲ってくる。
そして、冷静になった頭に浮かぶのは“後悔”の四文字で。