トライアングル・ロマンス
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「ねぇ、どう思う!? 大樹ってばヒドくない!?」
勢いよく置かれたグラスがゴトンッと鈍い音を立てる。
波打ったオレンジジュースが少し零れたけど、怒り心頭に発する彼女には、そんなことを気に留める暇もないようだ。募りに募った苛々を吐き出し続けている。
「……うん。それは、彼氏さんが悪いと思う」
「っ、だよね!? ってか彼女がいるのに他の女と二人きりで遊びに行くとかさ! それって浮気でしょ!? なのにアイツ、ただの友達で恋愛感情は一切ないとか白々しく……‼」
私の肯定の言葉に、更に語気を強めながら彼氏への怒りを爆発させている彼女は、白石桃子。同じ大学に通う友人で、サバサバした性格の美人さんだ。私は桃ちゃんと呼んでいる。
今日は、付き合って二年になる彼氏に浮気されたから話を聞いてほしいと、大学近くのカフェに呼び出されたのだ。
朝方には太陽が顔を出していたけれど、カフェに向かう最中に空はどんよりと曇り始めた。ついにはぽつぽつと雨が窓を叩き、静かな音を奏でている。