トライアングル・ロマンス
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「ただいま~」
桃ちゃんとカフェで別れて、スーパーで買い物を済ませてから帰宅した。
――自分以外誰もいないって分かってるのに「ただいま」を言ってしまうのって、何でだろう。
玄関でパンプスを脱ぎながら、そんなことを考える。
「「おかえり~」」
――ん?
誰もいないはずの部屋から、今、声が聞こえた気がしたんだけど……幻聴かな? しかも、すごく聞き慣れた声が、二人分。
あれ、ちょっと待って。そういえば私、電気付けっ放しで出掛けたっけ? ……ううん、確かに消した記憶がある。それなのに、何で室内が明るいんだろう?
嫌な予感に胸が小さくざわつく。
恐る恐る廊下を進み、リビングへと続く扉を開けば――そこには、ソファでまったり寛ぐ二人の男の子の姿があった。目が合った瞬間、瓜二つの顔に、ぱっと笑顔が咲く。