トライアングル・ロマンス


「でも、何で私に黙ってたの?」

「徹くんと馨くんがね、澪のこと驚かせたいから、東京の大学に行くことは秘密にしておいてくれ~って」


対面するソファの方を見れば、私の視線に気づいてへらりと締まりのない笑みを向けてくる二人。


――ううっ、我が弟ながら、やっぱり可愛いな……! でも絆されちゃ駄目よ、私……!


この二人は自分の顔が整っているということを幼い頃から自覚している。故に、甘え上手の世渡り上手なのだ。

まだ私が実家に居た頃なんて――徹なんかは特にそうだ。先輩後輩同級生関係なく女の子たちからたくさんのプレゼントを貰ってきては、その度に「姉ちゃん見てや! 凄いやろ?」なんて自慢されたっけ。


「……ん? ちょっと待って。もしかして、初めから二人をここに住まわせるつもりでこの部屋も用意してたの?」


今私が住んでいるのは、3LDKの賃貸マンションだ。
一人暮らしなのにリビングとは別に個室が三つもあるなんて、贅沢もいいところだと思う。

だけど私が上京する条件として両親からセキュリティ対策が万全な所に住むようにと言われ、父から勧められたのがこのマンションだったのだ。

家賃だって馬鹿にならないほど高いしもちろん断ったけど、知人に家賃も安くしてもらえるからと押し切られるような形でこのマンションに入居することになったんだよね。

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