トライアングル・ロマンス
「セキュリティもばっちりだし綺麗だし! 本当にいいマンションよねぇ。そこ、徹くんと馨くんが選んだのよ」
――やっぱり、私の予想は的中していたらしい。
つまり、このマンションは私のために用意されていたわけはなく、“私たち三人”のために、四年前から計画的に選ばれていたと。そういうことだよね。
でも、それなら徹と馨が上京してからでも良かったんじゃないのか。
一瞬そんな考えが脳裏を過ったけど、そこは二人が何枚も上手だったということだ。
だって、もし今徹と馨と一緒に住んでもらいたいから引っ越して、なんて言われたって、普通に断っていたと思うし。
「や~っと“俺ら”のマンションに住めるんやなぁ」
「せやなぁ。四年越しやんな」
目の前の二人は、顔をほころばせて嬉しそうに話している。
――この状況じゃあ、このまま追い出すなんて選択肢も選べそうにないし。弟たちにしてやられた感が途轍もないけど……はぁ、仕方がないか。