トライアングル・ロマンス
何だかこの数分間でドッと疲れた気がする。
もう一度深い溜息を落とせば、通話相手がお母さんからお父さんに入れ代わった。
「澪ちゃん、ごめんな。俺は反対したんだけど、あいつらがどうしてもって聞かなくて……」
酷く申し訳なさそうな声。お父さんにこんな風に謝られてしまったら、怒れるわけもなければ責める気にもならなくて。
「……ううん、大丈夫だよ。二人のことは、私がちゃんと責任もって面倒見るから。任せて」
私の返答にホッと安堵した様子のお父さんに「ありがとう澪ちゃん」とお礼を言われる。
「よかったわ~! 徹くんと馨くんと仲良くね、澪」なんて、嬉々とした声を上げるお母さんの声も聞こえてきた。
――まぁ、二部屋分は元々余らせていてほとんど使わずにいたから、宝の持ち腐れ状態だったわけだし。二人と共同生活を送るからといって、私に何か不都合が生じるわけでもないだろう。……多分。
それに、生意気に思うこともあるけど……何だかんだ言っても、やっぱり弟という存在は可愛いものなのだ。一緒に住むことを心から嫌に思うはずもない。