トライアングル・ロマンス
星を集めてお砂糖漬け
徹と馨との共同生活が始まってから、早いもので一か月が経つ。
四年間通っていた大学を無事に卒業して新社会人になった私と、入れ替わるようにして知名度のある難関大学へと入学した弟たち。
これから慌ただしい毎日が待っているのだろうと思っていたけれど、そんな予想に反し、今のところは比較的穏やかな毎日を送っている。
共同生活をするにあたっての決まり事や役割分担を決めたのだけれど、それが上手いこと機能しているのも所以の一つかもしれない。
三人で話し合って決めたことは、まず、家事は分担して行うということ。
料理は基本私が担当して、徹と馨にはリビングやトイレなどといった共有スペースの掃除やゴミ捨てをお願いした。
またその日の予定によっては夕飯が不要な時もあるだろうということで、元々三人で使っていたグループラインに連絡は早めに入れるようにしようと決めたのだ。
私の帰宅が遅くなってしまうことも何回かあったけれど、その時は徹が夕飯を作ってくれていて驚いたっけ。
「姉ちゃんみたいに美味く作れへんからな」なんて口では言うけれど、徹の手料理って普通に美味しいんだよね。
「まぁ姉ちゃんの手料理には敵わんけどな」なんて言いながらおかわりしていた馨に「おっま……、どの口が言うとんねん! やったら食べんでもいいんやで!」なんて口許を引くつかせていた徹の姿は、記憶に新しい。