トライアングル・ロマンス


それ以外にも、洗濯や私室の掃除は各々で行うこと。私室には勝手に入らないこと。

――これに関しては何故か二人とも不服そうな顔をしていたけれど、破った人にはご飯は作らないと言って何とか説き伏せることに成功した。

こんな風にしていくつかの決まり事を作ってみたのだ。一人暮らしの時に比べて家事の負担も少なくなったので、想像以上に生活しやすい環境になったな、なんて実感する毎日。


それに……家に帰って明かりがついていると、心がじんわり温かくなる。

“ただいま”と言えば、“おかえり”と迎え入れてくれる相手がいる。

一人暮らしの時には当たり前になっていたほんの少しの寂しさが、二人との生活を始めたことで静かに溶けてなくなってしまったのを感じる。

――徹と馨がここにきてくれてよかったな、なんて。

ちょっと現金かもしれないけど、そんな風に思ってしまうのだ。

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