トライアングル・ロマンス


「もう夕飯作ってたんやな。今日は何?」

「今日はオムライスにしてみました」

「よっしゃ! 姉ちゃんの作るオムライス、むっちゃ美味いからな。俺おかわりしてもええ?」


食べる前からおかわりの有無を聞いてくる馨。
本当に食べることが好きな子だ。

いつもは感情を表に出さない瞳も、食べ物の前では分かりやすいくらいに輝く。


「はいはい。ちゃーんとおかわり分も用意してあるから。でもまずは手洗いうがいね」

「わかってるって~」


鼻歌を歌いながら機嫌よさそうに洗面所へと向かう背中を見送ってから、オムライスにケチャップをかけて最後の仕上げをする。


「お、猫やん」

「中々上手く描けてるでしょ?」


手元を覗き込んできた馨に自信満々に聞けば「うん、まぁ……頑張ったな」なんて平淡な声で返されてしまった。

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