トライアングル・ロマンス
「そういえば徹は? 帰り一緒じゃなかったの?」
「ん、ああ、あいつは女子に捕まっとったみたいやで。帰り際に目合った気もするけどそのままスルーしてきたわ」
「俺まで絡まれたら堪ったもんやないし」なんてぼやきながらもパクパク食べ進める馨のお皿は、早くも空っぽになりそうだ。
「姉ちゃんは食べんの?」
「ん~、徹ももうすぐ帰ってくるだろうし、待ってようかな」
「あの女たらしのことなんか待たんでもいいのに」
馨が話し終えると同時に、扉が勢いよく音を立てて開いた。
「っ、だ~れが女たらしやって? 馨、お前よぉも俺を置いていったなあ?」
「お、思ったよりもはやく帰ってこれたやん。よかったなぁ」
不機嫌そうな様子を隠そうともせずに帰ってきたのは、兄の徹。
ドスドスと足音を響かせんばかりの勢いでこちらにやってきた。