トライアングル・ロマンス


「「いただきます」」


徹と一緒に手を合わせて夕飯を食べ始める。

馨はすでに二個目のオムライスに突入しているけれど、食べる速度はとどまることを知らない。本当にすごい食欲だ。


「……おい馨。さっき置いてったこと、俺はまだ許してへんからな」


低い声で恨めしそうに文句を言う徹に対して、馨は素知らぬ顔で食べ続けている。


「ん? 何がや。別に一緒に帰る約束してたわけでもないやろ。……もしかして徹、俺が先に帰ってしもて寂しかったん?」

「そんっっなわけないやろこのドアホ! こっちはお前の連絡先知りたい言う女子に付き纏われてたんや! お前それ知ってて逃げたやろ!」

「ん~、俺にはさっぱりわからんなぁ」


徹の言い分によると、どうやら最近、馨から連絡先を聞き出せなかった女子たちが、徹のもとにやってくるのだという。

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