トライアングル・ロマンス
「徹も馨も、相変わらずのモテっぷりだねぇ」
思ったことをそのまま口にすれば、なぜかピタリと言い争いをやめた二人は、同じタイミングで私の方に顔を向けてきた。
「……えっ、なに。どうしたの?」
突然のシンとした空気に面食らってしまう。
私、何か可笑しなことでも言っただろうか。
「――姉ちゃん、もしかして妬いた?」
にやりと笑ってそんなことを言ってきたのは徹だ。
妬いた、って……。
「ん? なんで?」
「俺らが女子からモテモテやって知って何とも思わんの?」
「いや、すごいな~って思ってるよ。それこそ子どもの頃から」
「さすが私の弟たち! お姉ちゃんは鼻が高いよ~」と褒めてあげれば、何故か二人揃って大げさに溜め息を落とされた。
――褒めたのに、どうして溜息を吐かれているんだろう。弟たちばかりモテているからって、別に僻んだりしないのに。