トライアングル・ロマンス
白の外壁に朱色の屋根の大きな家。駐車スペースの横には芝生もあって、一階のテラスから出られるようになっているらしい。
今まではお母さんと二人でアパート暮らしだったから、こんなに大きくて綺麗な家に住めるのかと嬉しくなってくる。
玄関扉を開けたお父さんが「ただいま~」と声を掛ければ、中からバタバタと賑やかな足音が聞こえてきた。
「おかえり~」
「なんや、もう帰ってきたんか」
出てきたのは、二人の男の子。背丈は私よりも全然低い。
サラサラの黒髪にまんまるの瞳。赤くてぽってりとした唇。
モデルや子役をやっていてもおかしくないというくらいに整っている可愛らしい顔が、二つ並んでいる。
「お、徹、馨! ちょうどよかった。今から美歩さんと澪ちゃんのことを紹介するからな」
お父さんの言葉に二人で顔を見合せてから、そのまあるい瞳がこちらに向けられた。
真っ直ぐな視線に射抜かれて、心臓がきゅっと音を立てる。