不器用なアイツと本音を言えないわたし

 「なんで?」

 「……明日で、終わりだから」

 明日は、卒業式
 わたしたちは6年間通ったこの小学校を、さよならする。
 「で、なんの用事?」

 そうわたしが口にするより早く、あいつがわたしの目の前にきた。
 わたしの目をみつめたまま、リボンのかかった包みをわたしに差し出す。

 「やるよ」

 ……わたしに?

 「中学に行っても、また借りるから。……それ、使えよ」

 あいつにぜんぜん似合ってない、ピンクの水玉の包装紙のラッピング。
 どうやってこれ、買ったんだろ……
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