優しくしないで、好きって言って
「そういうこと言ってるんじゃないの! 寝顔を見られたくない乙女心がわからない?」
ほんっと、信じらんない。何が『ご安心を』なんだか。
おかげでこっちは変な寝言まで聞かれちゃったっていうのに。
「んー、何度も部屋の外から呼びかけたんですがね。お嬢様がなかなか返事をしないので、今回は致し方なく……」
「っ、それは、わっ、悪かったけど……って、それより!」
布団から目を出し、ちらりと様子を窺う。
「その呼び方、やめてって頼んだでしょう?」
そう言い終えるや否や、視線を落とす。
すると竜胆は、やれやれと言わんばかりにフッと声をを洩らして言った。
「ああ、そうでしたね……七瀬さん」
「……よろしい」