虹橋の先へ
腕を組んで見下ろされるのは、如何に叔父とていい気分ではない。
「……分かってます」
「本当に?昔に比べて落ち着いたとはいえ、危険がないわけじゃない。それを知ってて行くのなら、君は僕の守る対象から遠いところにある。それでも?」
明らかに試され、――見下されていた。
何も知らないだろうと、お前にできはしないだろうと。
「僕には僕の守りたいものが、守らなくてはいけないものがあるから。それを危険に晒してまで、忠告を聞かず飛び出した王女様を守るつもりはない。……それでよければ、おいで」
しょっちゅう顔を合わせるわけではないが、それでも聞き慣れず見つめ返してしまう。
こんなにも低い声だっただろうか、これほど冷たい声を発せられたことがあっただろうかと。
「……行きます」
どちらにせよ、ここで引き返せるはずがない。
とこか懐かしいと思っていた瞳を、強く睨み返した。
もう、子供じゃない。
それほど軽い気持ちだと、思われたくはなかった。