虹橋の先へ
翡翠の森のほんの手前に、その町はあった。
かつて二国が冷戦状態の頃は、かなり寂れていたと聞くが。今ではかなり活気があるように見える。
とはいえ、城下町すらそうそう訪れることができない身では、比べようもないのだけれども。
「わぁ……」
通り沿いに並ぶ、雑貨や織物、食料品。
ほとんど馴染みはあるものの、中には見たこともないような品々も売られている。
「クルルからの品も、こんなにあるんですね!」
クルルの商人たち。
興味津々で広げられた品を覗くと、わっと寄ってきてびっくりしたが。
側にいるロイとレジーを見つけたからか、すぐに散々になってしまった。
「まだ、ここまで輸送するのが難しいものもあるけどね。それでも昔に比べて暖かくなったから……あ」
肩を竦めた、ロイの目が留まる。
視線が注がれたのは、一輪の赤い花だ。
咲きそうで、まだ開かぬままの花弁。
「紅色が綺麗ですね。きっと、咲いたらもっと」