虹橋の先へ
「……ああ」
別の方向から、声が聞こえて驚いてしまう。
ロイの方を向いて言ったはずなのに、返事をしたのがレジーだったからだ。
「……レジー……」
「クルルでよく見られる花だ。ここではまだ、花が開ききれないみたいたが。でも、それも不思議で……綺麗だ。あいつも好きだよな、その花」
どこか切ない表情に、胸が締め付けられた。
昔、彼らがもっと若い頃の何かを思い出したのだろうか。
それは恐らく、楽しいことばかりではないのが伝わってくる。
けれど――……。
「……うん。結婚式でも飾ってたね。ヴェールは手作りするんだって、張り切ってたっけ。でも、ジェイダときたら僕の想像以上に不器用で……可愛かった」