虹橋の先へ


それは、王弟の住まいとしては小さいのかもしれない。
でも、可愛らしい家だ。
温もりが伝わってくるのは、素材からでも構造からでもなく。
そこで生活している人たちの幸せで、ほんのりとした熱が感じられるのだ。



「ただいま」



きっと笑顔で迎えてくれると信じているのに、久しぶりだからか緊張して仕方ない。
最後に会ったのは、いつだっただろう?
叔父が忙しいのは聞いているが、ジェイダだって同じことだ。
子宝も授かったし、時間がある時は近くの宿屋を手伝っていると聞いた。
父のアルフレッドや、クルル王・キャシディも時折彼女の意見を欲しがるという。



クルルの乙女――そう呼ばれたことのある、その理不尽な役目を押し退け、自分の力で立ち向かった彼女に。









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