虹橋の先へ
「さて、オリヴィア」
妻の温もりを、少なくとも一旦は堪能して満足したのか。ロイがようやくこちらを向いた。
「ここまで連れてきたんだし、しばらくは滞在してくれて構わないけど。一体、これからどうするつもり?」
ギクリとして肩が揺れたのを、誤魔化すことができただろうか。
自信は全くなかったが、それでも動揺を悟られまいとまっすぐに彼を見つめた。
(それは……もちろん、ニール様にお会いしたいけど)
そんなことを言おうものなら、また盛大に溜め息を吐かれるのが目に見えている。
それにさすがのオリヴィアとて、いきなり城門の前に現れて
『こんにちは、お邪魔します!』
という訳にはいかないことくらい、承知している。