虹橋の先へ


「ふふっ、私も。キースさんも、何だか懐かしいな」



何気ない彼女の一言に、ロイの頬が引きつる。



「……何で?」

「だって、もう長いこと会っていないもの。大分前にあの子たちを連れて行ったきりじゃない?文句を言いながら、毎度面倒をみてくれるし。キースさん、優しいよね」

「………まあね」



第一子が生まれて、しばらく立った頃。
三人で城に来てくれたことを、よく覚えている。
キースが仏頂面で、しかし困惑しながらも子供をあやしている姿は衝撃だった。
何しろ、叱られる回数だけでいえば、父よりも彼の方が多かったのだ。
静かに、そのくせ終わりなどないのではないかと言うほど、ねちねちと延々続く説教。
その為、幼い頃は正直あまりいい印象はなかったのだけれど。


(キースもいい人なのよね。クールなようで熱心すぎるから、誤解されがちなだけだわ)



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