虹橋の先へ
その通りだ。
まだ城を飛び出したに過ぎない。
それも、ロイを巻き込み、皆の手を借りて。
「……そうね。本当に、そう」
どうして、自分やニールはこうも身軽ではないのだろう。
トスティータとクルル。
たとえ生まれた国が違っても、一般人だったなら少しは違ったかもしれないのに。
(こんなこと、考えちゃいけない。でも)
考えてしまう。
もっと、自分たちのことだけ見ていることができたなら、と。
「でも、今はお忙しい時期だから。少しは勉強していようと思うわ。確かに、私は何も知らないもの。叔父様の言う通り……現実を何も知らずに過ごしてきた。こんなんじゃ、ニール様に迎えてもらえないのも分かってる」