虹橋の先へ
「そうね、できたら……翡翠の森には行ってみたいわ」
夢だったのだ。
ニールと訪れることができたら、最高に幸せだけれど我儘は言えない。
第一、ここに来たのだって物凄く自分勝手な我儘なのだから。
「……翡翠の森……。そっか。そう、だよね」
今はデートスポットでもある森。
ライリーは気が進まないのかもしれない。
従姉で歳も離れているとはいえ、自分と一緒に行くのは気恥ずかしいのかも。
「あっ、途中まで連れて行ってくれたら、後は一人でも大丈夫よ?」
「無鉄砲なオーリーを一人にしたら、父さんに何て言われるか分からないよ。僕としても、そんなの恐ろしくて無理」
(うっ、言われてる……)
もちろん、反論などできない。
年下のライリーの方が、自分よりも格段にしっかりしている。両親の影響もないとは言えないが。
「……分かったよ。どうせ、一人でも行くんだろうしね。けど、今日明日、なんてダメだからね。監視、厳しいから」
「もちろん!ありがとう、ライリー」
思わず、ぎゅっと抱き締めると、ぽっと彼の頬が染まった。
(うん。やっぱり、来てよかった)
間違いなく、近づいている。
懐かしく恋しい、あのひとに。
まだ見ぬ、憧れの翡翠色に。