虹橋の先へ
日向
翌日。
ライリーは学校に出かけたし、ビーの世話のほかは特にやることがない。
さっきまで、テーブルで二人で人形遊びをしていたのだが。
ついついぼんやりしてしまい、愛想を尽かされたのか、一人遊びを始めてしまった。
来客だ。
扉を開けるジェイダの声が弾んでいる。
誰だろうと、立ち上がってそうっと覗いてみると。
「本当に、何も考えずにいらしたのですね……」
これ以上ないほどの呆れ顔で、席に就く。
ジェイダがティーポットを持ってきてくれたのが見え、慌ててカップの準備をした。
「そんな顔するなら、敬語なんて使わないでちょうだい。ジン」
年長者に敬語で話されると、悲しい気持ちになるのだ。
どうあっても、自分はただの女の子にはなれないと言われているような気分になる。
「はぁ。ジェイダが落ち着いたと思ったら……って、今もそんなとこあるかしら」
「うっ……昔よりは大分ましになったと思うわ」
いたずらっぽいジンの目に、ジェイダが唇を尖らせた。
自分はあまり見ることのないジェイダの表情に、何となく寂しさを感じてしまう。